オモシゴキャリアの編集チームです。株式会社オモシゴが運営し、「一人ひとりが自分の能力を100%発揮し、働くことにワクワクできる世の中にする」というミッションのもと、複業やキャリアに関する情報をお届けしています。5Mix井戸端会議では、複業を実践している人たちのリアルな対話をそのまま記事にしています。うまくいった話だけでなく、迷いや失敗も含めて、これからの働き方を考えるヒントになる言葉を届けていきます。
COLUMN 学習コンテンツ
「複業を始めたいけど、特別なスキルがない」
「資格もないし、人脈も大したことない」
今日は、そんな”ないない病”を治すための考え方をお伝えします。
先に言っておくと、あなたはすでに十分な”カード”を持っています。ただ、それに気づいていないだけ。
今回は、自分が持っているものを見つけ出すための「手中の鳥の原則」という考え方を、具体的な手順とともにお話しします。
~ 今日のお便り ~
まずは、よく届く悩みから。
「何か始めたいけど、自分には何もない気がします。
プログラミングもできないし、デザインも無理。
資格を取ってからじゃないとダメでしょうか?」
この悩み、本当に多いです。
でも、ちょっと待ってください。「スキル」って、資格や専門技術だけじゃないんですよ。
「当たり前」だと思っていること、人から「それ、すごいね」と言われたけどピンとこなかったこと、趣味で詳しくなったこと、生活の中で自然にやっていること。そういう”見えにくい資産”が、実は複業のタネになります。
「手中の鳥」の原則とは? → 今あるもので始める
「手中の鳥(Bird in Hand)」は、エフェクチュエーションという理論の中核をなす考え方です。
エフェクチュエーションは、成功した起業家たちに共通する思考パターンを研究してまとめた理論です。私がこれまで複業を始めた方々を見てきた範囲でも、「壮大な目標を立てて、そこから逆算して計画を練る」というやり方だけが正解ではないと感じます。
代わりに、「今、自分の手の中にあるものは何か?」から始めます。これが「手中の鳥」の原則です。
名前の由来は、英語のことわざ “A bird in the hand is worth two in the bush”(手の中の一羽は、藪の中の二羽に値する)から来ています。つまり、「まだ手に入れていない何か」を追いかけるより、「すでに持っているもの」で始めようということです。
ある参加者の話 → 「離職期間」が武器になった
ここで、一つのケースを紹介します。実際にいただいたご相談をもとに再構成した、架空の参加者の話です。
登場するのは30代のエンジニア。今はフリーランスとして活動しています。
でも、会社員時代に一度、仕事を辞めて離職していた期間がありました。
「当時は、本当にやることがなくて。暇だったので、ハローワークや市役所に通い詰めて、いろんな制度を聞きまくっていたんです」
失業保険の仕組み、職業訓練校の申し込み方法、社会保険の切り替え、確定申告の基礎。暇つぶしのつもりで聞いていたことが、頭に入っていった。
そして数年後、フリーランスになったとき、その知識が活きました。
「周りのフリーランスは、開業届の出し方とか、国保の切り替えとかで困っている人が多かった。でも自分は、全部スムーズにできた。あのとき役所に通っていたおかげです」
彼は最初、「あの離職期間は空白だった」と思っていました。でも、それが意外な「できること」に繋がっていた。
「手中の鳥」は、こういう”見えにくいカード”の中にもあるんです。
3つの問いで「手札」を棚卸しする → Who/What/Whom
では、自分の「手中の鳥」をどうやって見つけるか?
以下の3つの問いを使って、棚卸ししていきましょう。
1. Who I am(私は誰か?)
これは、職務経歴書に書くような話ではありません。
自分の性格、価値観、経験してきたこと。「辛抱強い」「細かいことが気になる」「人の話を聞くのが好き」。そういった特性も含みます。
さらに言えば、ネガティブに感じている経験も資産です。介護をしてきた、不登校を経験した、転職を繰り返した。そういった経験が、同じ状況にいる人への共感力になります。
2. What I know(何を知っているか?)
学歴や資格だけではありません。
趣味で詳しくなったこと、仕事で覚えた業界知識、生活の中で身につけた知恵。
たとえば、「子どものアレルギー対応で調べまくった」「実家の相続手続きを自分でやった」「確定申告を10年続けている」。こういった知識も、立派な「知っていること」です。
3. Whom I know(誰を知っているか?)
友人、同僚、家族、SNSでの繋がり、昔の取引先。自分の周りにいるすべての人が、リソースになりえます。
「誰かを紹介してもらう」だけでなく、「この人ならあの相談に乗れそう」という”繋ぎ役”になることも価値です。
落とし穴 → 「大したことない」と決めつけない
ここでよくある落とし穴があります。
「そんなこと、誰でも知ってるでしょ」
「自分にとっては普通のことだから、価値があるとは思えない」
この思い込みが、多くの人の「手中の鳥」を見えなくしています。
でも、あなたの「当たり前」は、他の誰かの「知りたいこと」なんです。
たとえば、
- 会議の資料をさっと作れる → 資料作成に苦しんでいる人にとっては神スキル
- Excelで関数を使える → 「関数って何?」という人は意外と多い
- 親の介護を経験した → これから介護が始まる人には貴重な情報源
「価値があるかどうか」は、自分で決めるものではありません。相手が決めるものです。
だから、まずは「自分が持っているもの」を全部書き出すことが大事。価値判断は後回しにしてください。
今日からできるワーク(記入例つき)
紙でもスマホでもOK。10分で書いてみましょう。
ステップ1:3つの問いに答える
| 問い | あなたの「手札」 |
|---|---|
| Who I am(私は誰?) | 例:40代・会社員・子ども2人・転職経験3回・人見知りだけど聞き上手 |
| What I know(何を知っている?) | 例:製造業の現場ルール・Excel中級・住宅ローン控除の仕組み・子どもの中学受験事情 |
| Whom I know(誰を知っている?) | 例:前職の同僚5人・地域のママ友・取引先の担当者・SNSで繋がったフリーランス |
ステップ2:「意外な組み合わせ」を探す
書き出した中から、2つ以上を組み合わせてみてください。
例:
- 「製造業の現場ルール」×「Excel中級」→ 工場向けの作業手順書テンプレート
- 「転職経験3回」×「聞き上手」→ 同世代の転職相談
- 「住宅ローン控除の知識」×「ママ友ネットワーク」→ 子育て世代向けお金の勉強会
最初はピンとこなくても大丈夫。「こんなの誰が欲しがるんだろう」くらいのネタで構いません。
「手札」を使って何ができるか → 完璧でなくても始められる
大事なのは、完璧なスキルを身につけてから始めるのではなく、今あるもので始めることです。
足りない部分は、やりながら補えばいい。あるいは、足りない部分を持っている人と組めばいい(これは第10回で詳しくやります)。
「特別なスキルがない」と思っていたものが、実は誰かにとっては貴重な価値だったりします。
あなたの「当たり前」は、他の誰かの「欲しいもの」かもしれません。
次回予告 → 「機会発見」という新しい視点
「手中の鳥」で自分の持ち物がわかったら、次は「それで何を解決できるか?」です。
複業のアイデアを探すとき、多くの人は「世の中の問題を解決しよう」と考えます。でも、もう一つの視点があります。それが「機会発見」。
まだ誰も気づいていない価値を見つける方法とは?
第4回「アイデアはどこにある?『機会発見』という新しい視点」
お楽しみに。