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COLUMN 学習コンテンツ
新しい職場の初日。真新しいIDカードを首からぶら下げ、知らない顔ばかりの中を歩く。期待と不安が入り混じった、あの独特な緊張感は、誰しも一度は経験があるはずです。
トランジションの3段階のうち、最終段階が「開始」です。ニュートラルゾーンを経て、ようやく「新しい自分」として歩み始める時期にあたります。
ただし、開始はゴールではありません。むしろ、新たなサイクルのスタートです。この段階をどう過ごすかが、その後のキャリア発展を左右します。
開始の段階の特徴
期待と不安の混在
新しい環境でのスタートは、期待と不安が混在します。
期待の面では、新しい可能性、新しい出会い、新しい学びがあります。ニュートラルゾーンの混乱を抜け出し、明確な方向性を持てることへの安堵感もある。
一方で不安も大きい。本当にうまくいくのか、自分は受け入れられるのか、期待に応えられるのか。以前の環境では当たり前だったことが、ここでは通用しないかもしれない。
この期待と不安のバランスは、人によって、また状況によって異なります。しかし、どちらか一方しか感じないのは不自然です。期待と不安の両方を感じることが、健全な開始の状態です。
学習曲線の急勾配
新しい環境では、学ぶべきことが山積しています。
新しい業務知識、システム、プロセス、ルール。こうした明示的な知識は比較的把握しやすいです。
厄介なのは暗黙的な部分です。組織文化、人間関係、暗黙の規範、「こうやるのが普通」という慣行。これらは明文化されておらず、時間をかけて体得していくしかありません。
開始の段階では、この学習曲線の急勾配に圧倒されることがあります。「何もわからない」「ついていけない」という感覚は、開始の段階では自然なことです。
最初の90日間
「最初の90日」の重要性
リーダーシップ研究の専門家マイケル・ワトキンスは、著書『The First 90 Days(最初の90日間)』で、新しい役職に就いた人が最初の3ヶ月をどう過ごすかが、その後の成功を大きく左右することを示しました。
この知見は、転職や異動に限らず、あらゆる「開始」に適用できます。最初の90日間で、周囲からの評価、自分自身の自信、そして仕事の進め方のパターンが形成されます。
90日間の戦略(ワトキンスの知見をもとに整理)
最初の30日は、とにかく学ぶことに集中する時期です。成果を出そうと焦るよりも、環境を理解することを優先します。
- 関係者との面談を積極的に設定し、期待や課題を聴きます
- 組織の歴史、これまでの経緯、なぜ今の状態なのかを理解します
- 自分の前任者がいる場合、その人がどのように評価されていたかを把握します
- 明示的なルールだけでなく、暗黙の規範も観察します
続く30〜60日は、学習を続けながら小さな成果を出し始める段階です。
- 「早期に達成可能で、周囲にも見える成果」を特定します
- 完璧を求めず、70点でも行動に移します
- 成果が出たら、それを適切に共有します(自慢ではなく、報告として)
- 失敗しても、そこから学ぶ姿勢を示します
そして60〜90日は、周囲との信頼関係を固めていく時期にあたります。
- 約束したことは必ず守ります
- 自分の限界や弱みも適切に開示します
- 他者の成功に貢献する姿勢を示します
- 組織の目標と自分の行動を一致させます