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2026.03.07 キャリア相談・コーチング

ケース:50代支店長のプロティアン・キャリア実践|#13 プロティアン・キャリア戦略

ケース:50代支店長のプロティアン・キャリア実践|#13 プロティアン・キャリア戦略

54歳、大手金融機関の支店長。200名の部下を率いていた人が、ある日すべてを手放して複業家になった。

第1部の最終回となる本記事では、この事例を通じて、プロティアン・キャリアの概念がキャリアの中でどう機能するかを見ていきます。アイデンティティ、アダプタビリティ、乗算戦略、トランジション、キャリア資本、心理的成功。これまで扱ってきた概念が、一人の人生の中でどうつながるのか。

※ 本記事のAさんは、キャリアトランジションに関する複数の調査・文献をもとに構成した架空の人物です。特定の個人の事例ではありませんが、50代のキャリア転換において実際に見られるパターンを反映しています。

Aさんのプロフィール

Aさんは、大手金融機関で30年以上のキャリアを積みました。営業、企画、管理と様々な部署を経験し、最終的には支店長として200名規模の組織を率いていました。

50代前半で、予期せぬ人事異動を経験します。長年築いた部署を離れ、新設部門への異動。本人にとっては「左遷」と感じられる異動でした。

この経験がきっかけとなり、54歳で早期退職を選択。現在は、複業家として複数の事業を展開しています。

トランジションの経験

終焉の段階

異動の発表は、Aさんにとって大きな衝撃でした。30年以上会社に貢献してきたという自負があり、その評価がこの異動に表れていると感じました。

「正直、裏切られたという感覚がありました。会社に尽くしてきたのに、結局この程度の扱いなのかと」

これは、ブリッジズのトランジション・モデル(出典:ブリッジスのトランジション理論とは? — ミツカリ)における「終焉」の段階です。「大手金融機関の幹部」「成功した会社員」という以前のアイデンティティが揺らいでいます。

ニュートラルゾーン

異動後の数ヶ月間、Aさんは深い混乱の中にいました。新しい部署での仕事にやりがいを見出せず、かといって転職する覚悟もありませんでした。

「毎朝、出社するのが苦痛でした。何のために働いているのかわからなくなった」

これは、ニュートラルゾーンの典型的な症状です。古いアイデンティティを手放し、新しいアイデンティティがまだ確立されていない「間」の時期。

しかし、この時期にAさんは重要な内省を行いました。キャリアカウンセラーとの対話、書籍との出会い、そして自分自身との対話。

「自分は何者なのか、何を大切にしているのか。初めて真剣に考えました。それまでは会社が決めた道を歩いてきたので」

開始の段階

内省の結果、Aさんは一つの決断に至ります。早期退職制度を利用して退職し、「複業」という新しいキャリアを始めること。

「会社の看板がなくなったら何もできないんじゃないか、という恐怖はありました。でも、このまま続けていても心理的に持たないと思った」

退職後、Aさんは複数の活動を開始しました。企業のアドバイザー、講師、コンサルタント、そして自身の事業。これらを組み合わせて、新しいキャリアを構築しています。

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