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2026.02.20 キャリア相談・コーチング

キャリア資本の考え方|#11 プロティアン・キャリア戦略

キャリア資本の考え方|#11 プロティアン・キャリア戦略

銀行口座の残高は気にするのに、自分のキャリアに何が貯まっているかを気にする人は少ないかもしれません。

「キャリア資本」とは、キャリアを通じて蓄積される様々な資源、つまりスキル、知識、人間関係、評判などを「資本」として捉える考え方です。この視点を持つと、日々の仕事や学習が「投資」として意味づけられ、キャリア形成を戦略的に考えられるようになります。

キャリア資本とは何か

資本としてのキャリア

「資本」とは、経済学において「将来の収益を生み出す資産」を指します。キャリア資本も同様に、「将来のキャリアにおける機会や報酬を生み出す資産」です。

金融資本(お金)と同様に、キャリア資本も蓄積でき、投資でき、リターンを得られます。ただし、金融資本と異なり、キャリア資本は目に見えにくく、その価値も評価しにくいです。だからこそ、意識的に管理する必要があります。

3つのキャリア資本

経営学者のロバート・デフィリッピとマイケル・アーサーは、キャリア資本を3つの領域に整理しました(DeFillippi & Arthur, 1994)(出典:人的資本経営時代のキャリアとリスキリング — JMAM)。

1つ目はKnowing-How(方法知)。「何をどうやるか」を知っていること。スキル、専門知識、業務遂行能力など、資格やスキルセットとして可視化しやすい資本です。

2つ目はKnowing-Why(動機知)。「なぜそれをするのか」を知っていること。価値観、動機、アイデンティティなど。#04で解説したキャリアアンカーがここに含まれます。

3つ目はKnowing-Whom(関係知)。「誰を知っているか」を知っていること。人的ネットワーク、評判、信頼関係です。いわゆる「人脈」ですが、単なる名刺交換ではなく、相互に価値を提供し合える関係を指します。

プロティアン・キャリアにおいては、この3つのキャリア資本をバランスよく蓄積していくことが重要です。

Knowing-How(方法知)の蓄積

スキルのポートフォリオ

方法知は、スキルや知識として蓄積されます。重要なのは、単一のスキルではなく、「スキルのポートフォリオ」として捉えることです。

金融投資におけるポートフォリオ理論と同様に、スキルも分散投資が有効です。一つのスキルに全てを賭けると、そのスキルが市場で価値を失った時にリスクが高くなります。複数のスキルを組み合わせることで、環境変化への耐性が高まります。

T型人材からΠ型人材へ

従来、理想的なスキルポートフォリオとして「T型人材」が挙げられてきました。T型とは、幅広い知識(横棒)と一つの深い専門性(縦棒)を持つ人材です。

しかし現代では、「Π(パイ)型人材」が求められています。Π型とは、幅広い知識に加えて、二つの深い専門性を持つ人材です。

例えば、「マーケティングの専門家で、かつデータ分析もできる」「エンジニアリングの専門家で、かつUXデザインもできる」といった人材は、市場での希少性が高く、代替されにくいです。

スキルの陳腐化への対応

方法知の特徴は、陳腐化することです。技術の進歩により、以前は価値があったスキルが、数年で価値を失うことがあります。

技術革新の加速により、スキルの有効期限は短くなる傾向にあり、継続的なスキルアップデートが必要とされています。#05で解説したリスキリングは、まさにこの方法知の更新を指しています。

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