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2026.06.16 キャリア相談・コーチング

キャリア戦略の羅針盤:パーパスと人生理念の明確化|#20 プロティアン・キャリア戦略

キャリア戦略の羅針盤:パーパスと人生理念の明確化|#20 プロティアン・キャリア戦略

ここまで第2部「キャリア資本論」では、ビジネス資本・社会関係資本・経済資本の3つを、どう蓄積し運用するかを扱ってきました。本記事は第2部の最終回として、これらの資本を「どこに向けて使うのか」という、より根源的な問いを取り上げます。

アイデンティティは、「自分は何者か」という自己認識です。しかし、アイデンティティだけでは、日々の意思決定の指針としては抽象的すぎることがあります。

本記事では、アイデンティティをより具体的な行動指針として言語化する方法として、パーパス(存在意義)人生理念 の明確化を解説していきます。これらは、キャリア戦略の「羅針盤」として機能します。

パーパスとは何か

パーパスの定義

パーパス(Purpose) とは、「自分が存在する意義」「自分がこの世界で果たすべき役割」を指します。

近年、企業経営の文脈で「パーパス経営」が注目されてきました。利益追求だけでなく、企業が社会に対して果たす役割を明確にし、それを軸に経営する考え方です。BlackRock CEOのラリー・フィンクが2018年の「年次レター」で企業のパーパスの重要性を強調したこと※1や、名和高司氏の『パーパス経営』※2などの著作が、この潮流を後押ししてきました。

個人のキャリアにおいても、パーパスは同様の役割を果たします。「なぜ働くのか」「自分は何のために存在するのか」という根源的な問いへの答えにあたります。

パーパスとアイデンティティの関係

アイデンティティが「自分は何者か」という自己認識であるのに対し、パーパスは「自分は何のために存在するか」という存在意義です。

両者は密接に関連しています。アイデンティティを深く探求することで、パーパスが見えてきますし、逆に、パーパスが明確になることで、アイデンティティがより具体化していきます。

例:

  • アイデンティティ:「私は人の成長を支援することに喜びを感じる人間だ」
  • パーパス:「私は人々が自分の可能性に気づき、それを発揮できるよう支援するために存在する」

パーパスを見つける方法

問いかけのワーク

パーパスを見つけるための問いかけを紹介します。サイモン・シネックが『Start with Why』※3で示した「Why(なぜ)から始める」という発想を、個人のキャリア戦略向けに展開したものです。時間を取って、これらの問いに向き合ってみてください。

1. 情熱の問い

  • 時間を忘れて没頭できることは何か
  • お金をもらえなくてもやりたいことは何か
  • 子供の頃、夢中になっていたことは何か

2. 価値の問い

  • 自分が提供できる価値は何か
  • 他者から「あなたに頼みたい」と言われることは何か
  • 自分の存在によって、周囲にどのような影響を与えているか

3. 社会の問い

  • 世界の中で、自分が解決したいと思う問題は何か
  • 自分が死んだ後、どのような人間として記憶されたいか
  • 自分の行動によって、社会がどう変わることを望むか

統合のプロセス

上記の問いへの答えを統合することで、パーパスの輪郭が見えてきます。

統合のステップ:

  1. 各問いへの答えを書き出す
  2. 共通するテーマやキーワードを抽出する
  3. それらを一つの文にまとめてみる
  4. 「これが自分のパーパスだ」としっくりくるかを確認する
  5. 必要に応じて修正を繰り返す

パーパスは、一度決めたら終わりではありません。人生の経験を通じて、深化したり、修正されたりすることは自然なことです。

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出典
※1 Larry Fink, “Larry Fink’s 2018 Letter to CEOs: A Sense of Purpose.” BlackRock. 企業のパーパス経営が世界的潮流となる転換点となった年次レター。https://www.blackrock.com/corporate/investor-relations/2018-larry-fink-ceo-letter
※2 名和高司『パーパス経営:30年先の視点から現在を捉える』東洋経済新報社、2021年(ISBN: 978-4492534427)。日本におけるパーパス経営の代表的な論考。
※3 Simon Sinek, *Start with Why: How Great Leaders Inspire Everyone to Take Action*, Portfolio, 2009.(邦訳:サイモン・シネック 著/栗木さつき 訳『WHYから始めよ! インスパイア型リーダーはここが違う』日本経済新聞出版、2012年)。Why-How-Whatの「ゴールデンサークル」概念で知られる。
※4 Stephen R. Covey, *The 7 Habits of Highly Effective People*, Free Press, 1989.(邦訳:スティーブン・R・コヴィー 著/フランクリン・コヴィー・ジャパン 訳『完訳 7つの習慣 人格主義の回復』キングベアー出版、2013年)。第2の習慣「終わりを思い描くことから始める」のなかで個人のミッションステートメントの重要性を説いた古典。

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