オモシゴキャリアの編集チームです。株式会社オモシゴが運営し、「一人ひとりが自分の能力を100%発揮し、働くことにワクワクできる世の中にする」というミッションのもと、複業やキャリアに関する情報をお届けしています。5Mix井戸端会議では、複業を実践している人たちのリアルな対話をそのまま記事にしています。うまくいった話だけでなく、迷いや失敗も含めて、これからの働き方を考えるヒントになる言葉を届けていきます。
COLUMN 学習コンテンツ
「自分のやりたいことはある。でも、それが誰かの役に立つのかわからない」
「独りよがりになっていないか、不安になる」
今日は、そんな悩みを解消するための考え方をお伝えします。
これまで紹介してきたエフェクチュエーションは、「自分」からスタートする思考法でした。今回は、その視点を外に向けて、他者への「共感」から価値を見つけるアプローチを探ります。
それが「デザイン思考」です。
~ 今日のお便り ~
まずは、よく届く悩みから。
「自分の好きなことで複業を始めたいのですが、
それが本当に求められているのか、自信が持てません」
この悩み、すごく多いです。
「好きなこと」を仕事にしたい。でも、それが誰かの役に立つかどうかは別の話。自分が良いと思っているだけで、誰も欲しがらないかもしれない。
ここで役立つのが、デザイン思考の「共感」というプロセスです。
「自分起点」と「他者起点」の両方が必要
エフェクチュエーションとデザイン思考は、対立するものではありません。むしろ、相性がいいと感じています。
| 思考法 | 起点 | 強み |
|---|---|---|
| エフェクチュエーション | 自分(手持ちのリソース) | 自分らしさを活かせる |
| デザイン思考 | 他者(ユーザーのニーズ) | 求められる価値を見つけられる |
どちらか一方だけだと、落とし穴にはまりやすくなります。
| 片方だけの場合 | 陥りがちな罠 | 具体例 |
|---|---|---|
| エフェクチュエーションだけ | 独りよがりの趣味で終わってしまう | 「自分が好きだから」だけでコンテンツを作り、誰も興味を持たない |
| デザイン思考だけ | 誰にでも作れるありきたりな解決策になりがち | ニーズはあるが、自分ならではの切り口がなく競合に埋もれる |
「自分らしさ(エフェクチュエーション)」と「求められる価値(デザイン思考)」。この両方が重なるところに、その人だからこそ生み出せるユニークな価値があります。
どちらか一方に偏っていると感じたら、もう一方の視点を取り入れてみる。このバランス感覚が、複業を続けていく上で大切になってきます。
カメラとレンズの比喩
この関係を、カメラに例えるとわかりやすいかもしれません。
「世の中や他者(被写体)にカメラを向け、それを自分というレンズを通して表現する」
カメラを向ける(デザイン思考)
ターゲットとなる人を観察し、「共感」を通じて、彼らが本当に求めていること、言葉にできていない潜在的なニーズを探ります。
レンズを通す(エフェクチュエーション)
第1部で探求した「自分軸」こそが、自分だけのユニークな「レンズ」です。同じ被写体を見ても、どんなレンズを通して見るかで、写し出される世界は全く異なります。
ある参加者の話 → 「日本酒」と「英語」の掛け算
ここで、一つのケースを紹介します。実際にいただいたご相談をもとに再構成した、架空の参加者の話です。
登場するのは40代の女性。外資系企業で働いていて、英語が得意。趣味は日本酒で、蔵元を巡ったり、銘柄を調べたりするのが好き。
最初、彼女は「これで何ができるんだろう?」と思っていました。
「日本酒が好きと言っても、ソムリエ資格があるわけでもないし、英語もビジネスで使っているだけ。どちらも中途半端なんです」
そう語る彼女に、「では、誰のために何ができるか考えてみましょう」と問いかけました。
デザイン思考で「誰のために?」を考えてみると、どうでしょう。
「英語で日本文化を学び直したい日本人」というターゲットが見えてきた。
「そういえば、海外の同僚に日本酒をプレゼントしようとしたとき、説明できなくて困った経験があります。『吟醸』って英語で何て言うんだろう?『辛口』はドライで合ってる? 自分でもモヤモヤしたんです」
彼女自身の困った経験が、共感の起点になりました。
海外の友人に日本酒を説明したい。でも、日本語の知識はあっても、英語でどう言えばいいかわからない。そういう人って、意外と多いかもしれない。
彼女の「日本酒の知識」と「英語力」というレンズを通して、「英語で日本酒を学べるコンテンツ」という被写体を捉え直した。
これは、エフェクチュエーション(自分の手持ち)とデザイン思考(他者のニーズ)が重なった例です。
彼女はその後、SNSで「英語で学ぶ日本酒の世界」という発信を始め、想定以上の反響を得ました。「私と同じように『説明できなくて困った』経験をした人がこんなにいたんだ」という驚きが、次の発信の原動力になっています。
「共感」の第一歩
デザイン思考で言う「共感」とは、相手の立場に立って考えること。
でも、いきなり完璧な共感はできません。まずは、「この人は何に困っているんだろう?」という問いを持つことから始めます。
- 身近な人の行動を観察する
- 「なぜそうしているんだろう?」と問いかける
- 直接話を聞いてみる
第4回で紹介した「機会発見」の視点とも繋がりますね。日常の中で「なぜ?」と問いかける習慣が、共感の入り口になります。
実際、ちょっとした会話の中から、「ああ、こういうことで困っている人がいるんだ」という気づきを得ることは多いものです。
今日からできるワーク(記入例つき)
紙でもスマホでもOK。10分で書いてみましょう。
記入例
| 問い | 答え |
|---|---|
| あなたの「レンズ」(自分軸)は何? | 例:「複雑なことをわかりやすく整理する」のが得意 |
| そのレンズで観察したい「被写体」(ターゲット)は誰? | 例:情報が多すぎて何から手をつけていいかわからない人 |
| その人が言葉にできていない潜在的なニーズは? | 例:「整理の仕方」を知りたいのではなく、「安心して一歩踏み出したい」のかも |
あなたの番
| 問い | あなたの答え |
|---|---|
| あなたの「レンズ」(自分軸)は何? | |
| そのレンズで観察したい「被写体」(ターゲット)は誰? | |
| その人が言葉にできていない潜在的なニーズは? |
「潜在的なニーズ」はすぐにわからなくても大丈夫。「この人のことをもっと知りたい」と思える相手を見つけることが、最初の一歩です。
書いてみると、意外な気づきが生まれることがあります。「自分のレンズって、こういうことだったんだ」「この人たちに向けて何か発信してみたいな」と思えたら、それだけで大きな前進です。
次回予告
第2部も、いよいよ最終回です。
これまで学んできたエフェクチュエーションとデザイン思考のマインドセットを総括します。キーワードは「もやもやを諦めないこと」。
第12回「第2部まとめ|『もやもや』を諦めないマインドセット」
お楽しみに。