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2026.09.25 キャリア相談・コーチング

(キャリア診断活用)キャリアの状態の「見える化」と次のアクション|#27 プロティアン・キャリア戦略

(キャリア診断活用)キャリアの状態の「見える化」と次のアクション|#27 プロティアン・キャリア戦略

第21回からここまで、棚卸し、狙う市場、選ばれる理由、時間の投資、回し方、そして日々の習慣まで組み立ててきました。第2部の最後に残っているのは、その全体がいまどうなっているのかを確かめる作業です。

ここで最初に足を止めておきたいことがあります。自己分析も内省も、すべて「自分が自分を見る」という一本の視点で行われている、という点です。

組織心理学者のターシャ・ユーリックの研究チームは、2014年から5000人近い参加者を対象に10件の調査を行い、自己認識という能力を検証しました。そこで示されたのは、ほとんどの人が自分のことを分かっていると信じている一方で、実際に条件を満たしているのは調査対象者のおよそ10〜15%にとどまる、という推計です※1。

この数字を、自分は例外だと読むこともできます。ただ、そう考えること自体が、研究の指している落とし穴でもあります。

自己認識には「内側」と「外側」がある

2つの自己認識は、ほとんど連動しない

ユーリックらは、自己認識を2つに分けて整理しています※1。

ひとつは内面的自己認識。自分の価値観、情熱、願望、環境への適合、反応、他者への影響力について、自分がどれだけ明確にとらえているかを指します。これは仕事や人間関係への満足度、幸福感と相関し、不安やストレスとは負の関係にあることが示されています。

もうひとつは外面的自己認識。同じ諸要素について、他者が自分をどう見ているかをどれだけ理解しているかです。自分が他者にどう見られているかが分かっている人は、共感力や、他者の視点に立つ能力に長けている傾向がありました。

注目すべきなのは、この2つの関係です。片方が高ければもう片方も高いと思われがちですが、研究では両者のあいだにほとんど関係がなかったと報告されています※1。内省を重ねて自分の価値観をはっきりさせた人が、周囲からどう見えているかは分かっていない。逆もまた起こります。

第4回でアイデンティティを扱ったとき、自己認識には盲点があると書きました。この研究は、その盲点が「内省を深める」だけでは埋まらないことを示しています。内側を掘る作業と、外側から見た自分を知る作業は、別々に取りに行く必要があります。

だから、外からの目を借りる

キャリア診断が果たすのは、まさにこの外側の役割です。同じ設問に多数の人が答えたデータの中に自分を置くことで、「自分ではこう思っている」を、比較可能な位置情報に置き換えられます。

第12回で心理的成功の測り方を扱ったときは、キャリア満足度や仕事の意味といった、主観そのものを丁寧に見る方法を紹介しました。今回扱うのはその対になる作業です。主観を否定するのではなく、主観の外に基準を一本置く。両方あってはじめて、自分の現在地の見当がつきます。

キャリアに関する診断は、測っているものが違う

「キャリア診断」とひとまとめに呼ばれるものは、実際には測っている対象がまったく違います。使う前に、何を測る道具なのかを区別しておくと迷いません。

種類例測っているもの
興味・志向ホランドのRIASEC※4どんな仕事環境に惹かれるか
価値観の核キャリアアンカー(第4回)譲れない価値観・欲求・能力
適応の資源キャリア適応力の4C(第5回)※5変化への向き合い方の4次元
開発の状態キャリア開発診断いまのキャリア開発がどこまで進んでいるか

上の3つは、どちらかといえば変わりにくいものを測ります。興味の傾向やアンカーは、短期間で大きく動くものではありません。

これに対して最後のキャリア開発診断は、動くものを測ります。行動を変えれば数字が動く前提で設計されているため、繰り返し受けて変化を見る使い方に向いています。この連載で組み立ててきた戦略の進み具合を確かめるには、この4つ目が対応します。以下ではこれを詳しく見ていきます。

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この先では、キャリア開発診断が測る6つの項目の中身、結果を読むときの3つの比較軸、そして項目別に何から手をつけるかを解説します。

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出典
※1 リーダーに不可欠な「自己認識力」を高める3つの視点(ターシャ・ユーリック、DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー、2018年2月9日)。2014年から5000人近い参加者を対象とした10件の調査、自己認識の条件を満たすのは調査対象者の10〜15%という推計、内面的自己認識と外面的自己認識の定義、両者のあいだにほとんど関係がないことを収録。
※2 キャリア開発診断(一般社団法人プロティアン・キャリア協会)。診断の目的(キャリアサクセスに向けたキャリア開発状態のサーベイ、状態の変化から行動変容のヒントを得る)、6つの診断項目とその定義および2群への区分、活用例(個人・上司・組織)、上司への開示は本人の意思表示による運用、エンゲージメントサーベイとの対比、受検タイミングの例(3月・6月・9月・12月)を収録。
※3 『キャリア開発診断』トライアルユーザー1万人突破(一般社団法人プロティアン・キャリア協会、2025年7月14日)。田中研之輔監修・4designs株式会社提供であること、試用ユーザー1万人突破、受検時間およそ10分、社内スコアと市場の同世代平均との比較、1on1面談での活用、属性別の集計と可視化、コーポレート系社員のキャリア自律度が高く現場社員が低い傾向、施策のKPIとしての活用を収録。
※4 ホランド理論とは?六角形モデル(KIP)。ジョン・L・ホランドが、個人の職業興味と職場環境をそれぞれ6つのタイプに分類し、両者のマッチングをはかる六角形モデル(RIASEC)を提唱したことを収録。
※5 キャリア・アダプタビリティとは(HRMOS)。サビカスによるキャリア適応力の4C(関心・統制・好奇心・自信)の解説。

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