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2026.06.16 キャリア相談・コーチング

社会関係資本の構造:「結束型」と「橋渡し型」|#17 プロティアン・キャリア戦略

社会関係資本の構造:「結束型」と「橋渡し型」|#17 プロティアン・キャリア戦略

「人脈が大事」という言葉は、よく聞きます。しかし、どのような人脈が、なぜ大事なのかを体系的に理解している人は意外と少ないものです。

本記事では、社会科学(政治学・社会学)の知見を活用して、社会関係資本の構造を解説していきます。特に、「結束型」と「橋渡し型」という2つのネットワーク類型を理解することで、戦略的な人脈構築が可能になります。

社会関係資本とは

定義と背景

社会関係資本(Social Capital) とは、社会的なつながりから生まれる価値や資源を指す概念です。

この概念は、政治学者のロバート・パットナム※1によって広く知られるようになりました。パットナムは、市民の自発的な結社(ボランティア団体、地域コミュニティなど)への参加が、社会全体の信頼と協力を生み出すことを示しました。

キャリアの文脈では、社会関係資本は「人脈、ネットワーク、信頼関係」として捉えられます。これらは、情報へのアクセス、キャリア機会の獲得、困難時の支援などをもたらしてくれます。

社会関係資本の機能

社会関係資本(Knowing-Whom)は、大きく3つの機能を持っています。

一つ目は情報機能です。新しい情報や機会へのアクセスを提供してくれます。転職情報、業界動向、ビジネスチャンスなどがここに含まれます。

二つ目は支援機能です。困難な時の支援やアドバイスとして、メンタリング、コーチング、感情的サポートといったものを得られます。

三つ目は影響機能です。他者への影響力や評判、推薦、紹介、信頼の連鎖といった形で機能します。

結束型と橋渡し型

パットナムの分類

パットナムは、社会関係資本を「結束型(Bonding)」と「橋渡し型(Bridging)」に分類しました。

結束型社会関係資本は、同質的な集団内の強い絆を指します。家族、親しい友人、同じ職場の同僚、同じ業界の仲間など、共通の属性や価値観を持つ人々とのつながりです。

橋渡し型社会関係資本は、異質な集団間をつなぐ弱い絆を指します。異業種の知人、異なるバックグラウンドを持つ人々、普段は接点のないコミュニティとのつながりです。

「弱い紐帯の強さ」

社会学者のマーク・グラノヴェッターは、1973年の論文※2で「弱い紐帯の強さ(The Strength of Weak Ties)」という概念を提唱しました。

グラノヴェッターのボストン調査によれば、転職経由の人脈のうち84%が「まれにしか会わない人」からもたらされていたといいます。親しい友人(強い紐帯)よりも、あまり親しくない知人(弱い紐帯)から転職機会が得られるケースが多かったのです。なぜなら、親しい友人は自分と同じ情報圏にいるため、新しい情報をもたらす可能性が低くなるからです。

橋渡し型の社会関係資本は、まさにこの「弱い紐帯」にあたります。異なる情報圏へのアクセスを提供し、新しい機会や視点をもたらしてくれます。

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出典
※1 Putnam, R. D. (2000). *Bowling Alone: The Collapse and Revival of American Community*. Simon & Schuster.(邦訳:ロバート・D・パットナム 著/柴内康文 訳『孤独なボウリング 米国コミュニティの崩壊と再生』柏書房、2006年)。日本語解説はソーシャルキャピタルの考え方とは|リカレントも参照。
※2 Granovetter, M. S. (1973). “The Strength of Weak Ties.” *American Journal of Sociology*, 78(6), 1360-1380. 日本語解説は弱い紐帯の強みとは|日本の人事部を参照。
※3 リンダ・グラットン、アンドリュー・スコット 著/池村千秋 訳『LIFE SHIFT 100年時代の人生戦略』東洋経済新報社、2016年(ISBN: 978-4492533871)。要約はGLOBIS知見録も参照。
※4 McPherson, M., Smith-Lovin, L., & Cook, J. M. (2001). “Birds of a Feather: Homophily in Social Networks.” *Annual Review of Sociology*, 27, 415-444.

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