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前回 第17回「社会関係資本の構造:『結束型』と『橋渡し型』」では、社会関係資本の2つのネットワーク類型を解説しました。本記事では、特に「橋渡し型」ネットワークの戦略的構築に焦点を当てていきます。
橋渡し型ネットワークは、単に転職機会をもたらすだけではありません。異なる視点への継続的な接触は、アダプタビリティ(変化対応力)を実践的に鍛える有効な方法の一つです。
橋渡し型ネットワークとアダプタビリティの関係
多様な視点が変化対応力を高める
第5回「アダプタビリティとは」で扱ったアダプタビリティの構成要素「4C」、すなわちConcern(関心)、Control(統制)、Curiosity(好奇心)、Confidence(自信)※1のうち、特に「好奇心(Curiosity)」は、橋渡し型ネットワークによって鍛えられていきます。
異なるバックグラウンドを持つ人々との対話は、自分の常識を揺さぶり、新しい可能性への関心を喚起してくれます。「自分の業界では当たり前だったことが、他の業界では全く通用しない」という気づきが、好奇心を刺激してくれるのです。
ネットワークが提供する「安全な実験場」
橋渡し型ネットワークは、変化を試す「安全な実験場」を提供してくれます。
転職を考えているが、本当に他業界でやっていけるか不安。そんなとき、異業種の知人との対話が参考になります。実際に転職する前に、その業界の実情を知り、自分の適性を確認できます。
新しいスキルを身につけようとしているが、それが本当に市場で価値があるかわからない。そんなとき、異なる分野の専門家からの意見が役立ちます。
戦略的構築の原則
原則1:意図的な多様性
橋渡し型ネットワークの構築は、意図的に行う必要があります。
人間には「ホモフィリー(同質性への親和性)」※2という傾向があります。放っておくと、自分と似た人々とのつながりを強化していくのです。だからこそ、意識的に「異なる人々」との接点を作る必要があります。
多様性の軸:
- 業界・業種(自分と異なる業界の人)
- 職種・専門性(自分と異なる専門の人)
- 年齢・世代(自分と異なる世代の人)
- 地域・文化(自分と異なる地域や文化背景の人)
- 立場(顧客、取引先、競合など異なる立場の人)
原則2:ギブ・ファースト
橋渡し型ネットワークは、「もらう」よりも「与える」姿勢で構築していきます。
最初から「何かもらおう」という姿勢では、持続的な関係は築けません。自分が持っている情報、スキル、ネットワークを、まず相手に提供します。その積み重ねが、信頼関係を構築してくれます。
提供できる価値の例:
- 自分の専門領域の知識や情報
- 自分のネットワークを介した紹介
- 相手の活動へのフィードバックや応援
- イベントや情報の共有
原則3:継続的な関係維持
橋渡し型ネットワークは、一度構築しても、メンテナンスしなければ弱体化していきます。
「弱い紐帯」であっても、完全に切れてしまっては価値がありません。年に数回の接触でも、関係を維持することが重要です。
維持の方法:
- 定期的なメッセージ(年始、誕生日など)
- 相手のSNS投稿や活動への反応
- 「久しぶりに会いたい」という連絡
- 共通の知人を介した間接的な接触
出典
※1 Savickas, M. L., & Porfeli, E. J. (2012). “Career Adapt-Abilities Scale: Construction, reliability, and measurement equivalence across 13 countries.” *Journal of Vocational Behavior*, 80(3), 661-673. アダプタビリティの4要素については本連載 第5回「アダプタビリティとは」でも解説。
※2 McPherson, M., Smith-Lovin, L., & Cook, J. M. (2001). “Birds of a Feather: Homophily in Social Networks.” *Annual Review of Sociology*, 27, 415-444. 日本語解説は「類は友を呼ぶ」の科学|Sansan Builders Boxも参照。
※3 Burt, R. S. (1992). *Structural Holes: The Social Structure of Competition*. Harvard University Press. 日本語解説は「弱いつながり」の誤解と本質|Sansan Builders Boxも参照。