企業・自治体向けに、生成AIを現場で使うための研修・ワークショップを提供。複業・自律的キャリアで「一人ひとりが能力を100%発揮できる社会」を目指しています。株式会社オモシゴ代表。複業プログラム運営、プロティアン認定ファシリテーター。複業関連サービスの情報も発信中➡︎https://x.gd/XjbHM
COLUMN 学習コンテンツ
5Mix複業キャリア支援プログラム ~ 複業に挑戦したい人が集まる、オモシゴのコミュニティ ~ のメンバー3人で、「井戸端会議」を始めました。
テーマは「AI時代の複業・働き方 〜これからの5年を見据えて〜」。
台本もスライドもなし。30分間、思ったことをそのまま話す。そんなゆるい対話の中から、けっこう大事なことが出てきます。
参加したのは、5Mixの運営メンバーの3名。小林さん(ライター)、中野さん(キャリア支援)、そして村中です。
この記事では、聞き手・書き手の村中が、井戸端会議で出た「本音の話」をお伝えします。
目次
複業に”プロ”が求められる時代になっている
最初の話題は、複業のトレンド変化について。
小林さんが最近こんな経験をしたそうです。
「”プロの副業”というプラットフォームから連絡があって。Webライターじゃなくて、ディレクションから全部できる人を探してるんですよ。若い人より経験者が好まれるようになっていて」
── 小林
以前なら「初めてだけどやってみよう」で取れた案件が、今は減っている。
会社員が「ちょっと外でもやってみようかな」という気軽な複業は、実は成立しにくくなっているのかもしれません。
「副業にもプロフェッショナルがすごく求められるようになっている」
── 小林
20年、30年の実務経験があって初めて声がかかる。複業の世界でも「即戦力」を求める流れが加速しています。

スポットワーク vs プロ人材 ~ 仕事の「二極化」
中野さんはこの流れを「二極化」と表現しました。
「タイミーのような気軽にできるスポット仕事と、プロ人材。この二極化が進んでいる」
── 中野
要するに、簡単にできる仕事とプロの仕事に分かれていて、その真ん中が消えかけている。
しかも簡単な方はAIがどんどんやれるようになっていく。
じゃあ、どうすればいいのか。
「自分のスタイルを極めていかないといけない時代」
── 中野
好きなことを長く続けて、自分らしい強みを作っていく。それしかないよね、という空気になりました。
5Mixの参加者にも両方の層がいます。プロとして動き始めている人もいれば、まずスポットから試してみたいという人も。聞きながら、正直「どっちに振った場を作ればいいんだろう」と迷いました。

「気づいている人だけが準備している社会」
話が進むにつれて、もっと大きなテーマが見えてきました。
AIが社会を変えつつある。でも、学校教育も、親の価値観も、就職活動のスタイルも、実はあまり変わっていない。
「気づいている人だけが準備している社会。気づいていない人と気づいている人の格差が、大きくなっている」
── 中野
さらに中野さんからは、こんな予測も。
「器用で何でもできる子が苦しくなる。不登校で好きなことを見つけた子の方が、生きやすくなる逆転現象が起こるんじゃないか」
── 中野
あくまで仮説です。ただ、「なんでもそこそこできる」よりも「ひとつのことにこだわってきた」人が評価される場面は、大人の世界でも増えているように思います。
正直、不安もあります。自分自身がこだわってきたものって何だろうか。でも、だからこそ、今からでも考えなきゃいけないな、と。
そして、ここから次のテーマへ。
「解き方を覚える勉強」から「意味を考える学び」へ
この日の井戸端会議のちょっと意外な問いかけ。
「なぜ高学歴層はAIを恐れるのか?」
小林さんのまわりには、案外AIに対して批判的な人が少なくないそうです。
「勉強をして価値を得てきた人たちは、AIで勉強が必要なくなるから怖がっている。私たちみたいに”ラッキー”とは思えないんですよ」
── 小林
AIに文章を読み込ませたら、中学生でもわかるように解説してくれる。「もう先生いらないじゃん」と思った、と。
中野さんはこの変化を、もっと大きな枠で捉えていました。
「”解き方を覚える勉強”から”意味を考える学び”へ。AIは敵ではなく電卓」
── 中野
暗記や正解を出す力ではなく、「これってどういう意味だろう?」と立ち止まって考える力。そっちの方が大事になってきている。

「勉強できへんかった」が強みになった話
このあと、小林さんがとても印象的な話をしてくれました。
「自分は勉強できなくて、後ろから数えた方が早かった。学校も嫌いで、おじいちゃんの家に家出していた。学歴も持っていないから、社会に出てからずっと自信がなかった」
── 小林
でも、その「自信のなさ」が、キャリアを積む中で大きな武器になった。
「自信がないから、ちゃんと調べられる。勉強できる。1個ずつ確認できる。それが自分のキャリアを積んで大きな強みになった」
── 小林
いつも「これでいいのかな」と謙虚にドキドキしている。だからこそ、丁寧に仕事ができる。
「勉強できへんかってもええことあんねんわ」
── 小林
AIが出してきたものを「本当にこれで合ってるかな?」と疑いながらチェックする。その姿勢こそが、AI時代の強みになる。
僕もこう続けました。
「AIがポンと出したものを疑いながら、もう一回チェックして、もう一回問いかけたりしながら作っていく。まさにそういうスタイルが大事」
── 村中
知的好奇心がすべてを決める
小林さんのエピソードを受けて、中野さんの話はさらに核心に踏み込んでいきました。
「知りたいという欲望が一番大事になる」
── 中野
AIに質問を投げて、返ってきた答えをそのまま使う。自分が全然介在しないまま、きれいな答えが出来上がる。中野さんが言うには、それが一番危ない使い方だと。
「自分の内面を通さずに答えを作るのが一番よくない。間違っていようが、横道に逸れようが、”本来調べるつもりなかったけどこうなっちゃった”という好奇心の持ち方が大事」
── 中野
自分も日常的にAIを使っているから、これは刺さりました。「効率よく正解を出す」ことばかり考えていたな、と。本当に残るのは「なんだろう?」と寄り道した時間の方かもしれない。
変わったのは「スピード」じゃなく「クオリティ」。そして、動機は何でもいい
最後の話題は、AIを使って実際に何が変わったか。
小林さんの答えは、ちょっと意外でした。
「AI使っているけど、作業が早くなったのではなく、仕事のクオリティが上がった。完成度が高まった」
── 小林
速くなったんじゃなくて、質が上がった。今回の井戸端会議で使った資料やイラスト、図解も、AIがあったから作れたもの。
「今日の資料も1時間前に文章をぺたっと貼って、こうやって見れるものにしてくれた。まだ不完全だけど、編集もできるようになったらどうなるんだろう」
── 村中
これは複業にも直結する話だと感じました。今まで外注しないとできなかったことが、AIの力を借りれば自分でできるようになる。クオリティの底上げは、複業のハードルを下げることにもつながるはずです。
ただ、ここで小林さんが大事なことに触れました。
複業といえば「自己実現」「好きなことで生きていく」というイメージが先行しがちですが、現実には収入のために始める人も多い。
「本当にお給料が減って、時給1000円で働かないといけない人もいっぱいいる。それは決して恥ずかしいことじゃない。働こうという意欲は素敵」
── 小林
自己実現だけが正解じゃない。お金のため、生活のため。それも立派な動機です。プロフェッショナルの道も、スポットワークからの一歩も、どちらも「行動した」という点で同じ。
「とにかく行動してもらわないとなんともなれへん」
── 小林
AIでクオリティを上げられる時代だからこそ、まず動く。そこが全部のスタートだよね、という話で第1回は終わりました。
振り返ると、30分の雑談から思った以上に深い話が出てきました。「複業のトレンド」を話すつもりが、「学びって何だろう」「強みって何だろう」というところまで行ってしまった。台本なしだからこそ出てきた話だったと思います。
第1回を終えて
特に印象に残ったのは、小林さんの「勉強できへんかってもええことあんねんわ」という一言でした。コンプレックスが武器になる、という話はAI時代の複業を考える上で、かなり大事な視点だと思います。
それから、複業にプロが求められるようになっていること、仕事が二極化していること、知的好奇心がAI活用のポイントになること。30分の対話から出てきたテーマは、どれも今後掘り下げたいものばかりでした。
5Mix井戸端会議は、こんな感じでゆるく、でも本質的な話をしていく場として続けていきます。
次回もまたリアルな話をお届けします。