オモシゴキャリアの編集チームです。株式会社オモシゴが運営し、「一人ひとりが自分の能力を100%発揮し、働くことにワクワクできる世の中にする」というミッションのもと、複業やキャリアに関する情報をお届けしています。5Mix井戸端会議では、複業を実践している人たちのリアルな対話をそのまま記事にしています。うまくいった話だけでなく、迷いや失敗も含めて、これからの働き方を考えるヒントになる言葉を届けていきます。
COLUMN 学習コンテンツ
「複業を始めたいけど、人脈がない」
「相談できる人がいなくて、一人で悩んでいる」
複業を進めていると、こうした孤独を感じる瞬間があります。でも、一人で抱え込む必要はありません。
今日は、そんな孤独感を解消し、仲間を作るための考え方をお伝えします。
エフェクチュエーションの原則の一つ、「クレイジーキルトの原則」。これを知っておくと、「人脈がない」という悩みが軽くなります。
~ 今日のお便り ~
まずは、よく届く悩みから。
「複業を始めるにも、協力してくれる人がいません。
人脈づくりって、どうすればいいんでしょうか?」
この悩み、本当に多いです。
「人脈」という言葉を聞くと、名刺交換会や異業種交流会をイメージする人も多いかもしれません。でも、そういう場が苦手な人もいますよね。初対面の人と話すのが得意じゃない。名刺を配り歩くなんて考えただけで疲れる。
私もそういうタイプなので、その気持ちはよくわかります。
でも、安心してください。クレイジーキルトの原則は、そういう「人脈づくり」とは少し違う考え方です。無理に広げる必要はありません。
「クレイジーキルト」とは
クレイジーキルトとは、形も色もバラバラな布切れを縫い合わせて作る一枚の布のこと。
19世紀頃に米国で広まったとされるこの手法は、余った布や古い服の切れ端を集めて、パッチワークのように縫い合わせていくものでした。規則的なパターンはなく、形も色も素材もバラバラ。でも、それが組み合わさると、唯一無二の美しい一枚の布になる。
この原則は、関わる人々を競争相手としてではなく、共に新しい価値を作り上げていくパートナーとして捉えるアプローチです。
大事なのは、「人脈を持っているかどうか」ではなく、「目の前の一人と、どう関わるか」。
たった一人からでいい。自分のアイデアに共感してくれる人、一緒に何かを作りたいと思ってくれる人を見つけることから始めます。
ある参加者の話 → 紙芝居師との出会い
ここで、一つのケースを紹介します。実際にいただいたご相談をもとに再構成した、架空の参加者の話です。
登場するのは30代の男性。「絵本を作りたい」という夢がありましたが、自分には知名度がない。出版社に持ち込んでも、実績のない新人の企画はなかなか通りません。
「どうすれば、絵本を世に出せるんだろう…」
そう悩んでいたとき、彼はある人のことを思い出しました。
知り合いに紙芝居師がいたのです。その方は表現力があり、地元では評価されている。でも、紙芝居を絵本にするノウハウはない。
「これだ」と思った彼は、すぐに連絡を取りました。
そこで彼が取った行動は、「自分の作品を売る」のではなく、「すでに評価されている人の作品をプロデュースする」こと。
「僕が編集と制作をサポートするので、一緒に絵本を作りませんか?」
最初、紙芝居師の方は驚いていました。
「私の紙芝居が、絵本になるんですか?」
「はい。あなたの物語は素晴らしい。これを絵本にしたら、もっと多くの人に届けられます」
彼は自分の「編集・制作サポート」という強みと、相手の「表現・発信」という強みを組み合わせた。
これがクレイジーキルトの発想です。自分に足りないものは、それを持っている人と組めばいい。
その絵本は地域で好評を博し、彼自身も「絵本プロデューサー」として実績を作ることができました。今では複数の作家と組んで、絵本制作を続けています。
競合もパートナーになりうる
クレイジーキルトの面白いところは、「競合」と見なしていた相手も、パートナーになりうるという点です。
たとえば、同じ分野で活動している人。従来のビジネスでは「ライバル」として警戒する相手かもしれません。
でも、共通の目的のために協力することで、一人では生み出せなかった大きな価値を創造できることがあります。
実際、同じ分野で活動する人同士が情報交換したり、お互いの顧客を紹介し合ったりすることで、業界全体が盛り上がる例もあるようです。
たとえば、同じ地域でキャリアコンサルタントをしている人同士が、「月1回の情報交換会」を開催しているという話を聞いたことがあります。
お互いに扱っている案件を共有し、「この相談者には、あなたのほうが合いそう」と紹介し合う。競合ではなく、共創のパートナーとして関わる。
その結果、一人では対応できなかった多様なニーズに応えられるようになり、顧客満足度も高まったといいます。
「あの人は競合だから…」と壁を作る前に、「一緒に何かできないか?」と考えてみる。その視点の転換が、世界を広げてくれます。
落とし穴 → 「ギブ&テイク」を計算しすぎない
ここでよくある落とし穴があります。
「相手に何かを返せないと、声をかけちゃいけない気がする」
「まだ何も持っていない自分が、お願いしていいのか…」
この遠慮、よくわかります。でも、最初から完璧なギブ&テイクを求めなくていいんです。
大事なのは、「この人と一緒に何かを作りたい」という気持ちを、素直に伝えること。
相手にとっても、「自分のアイデアに共感してくれる人がいる」というのは嬉しいもの。お互いにできることを持ち寄りながら、一緒に価値を作っていく。それがクレイジーキルトの本質です。
実際、「何も返せないから声をかけられない」と思っている間は、何も始まりません。でも、「一緒に何かやりませんか?」と声をかけてみると、意外にも「面白そうですね」と返ってくることが多いものです。
完璧なギブ&テイクは、後からついてきます。まずは、関わりを作ることから始めましょう。
今日からできるワーク(記入例つき)
紙でもスマホでもOK。10分で書いてみましょう。
記入例
| 問い | 答え |
|---|---|
| 自分のアイデアに興味を持ちそうな人は? | 例:前職の同僚、SNSで繋がっているフリーランスの人 |
| 競合ではなくパートナーになれそうな人・組織は? | 例:同じテーマで発信している人(情報交換できるかも) |
| 今週、話してみる一人は誰? | 例:〇〇さんに「最近こんなこと考えてるんだけど」とLINEしてみる |
あなたの番
| 問い | あなたの答え |
|---|---|
| 自分のアイデアに興味を持ちそうな人は? | |
| 競合ではなくパートナーになれそうな人・組織は? | |
| 今週、話してみる一人は誰? |
たった一人でいいんです。「この人なら話を聞いてくれそう」という相手を、一人思い浮かべてみてください。
人脈は、広げるものではなく、育てるものです。まずは一人、自分のアイデアに共感してくれる人を見つけること。そこから、クレイジーキルトは少しずつ広がっていきます。
次回予告
ここまで、エフェクチュエーションの原則を見てきました。「自分」からスタートし、手持ちのリソースで小さく動く考え方です。
次回は、その視点を外に向けます。他者への「共感」から価値を生み出す「デザイン思考」との出会いを探ります。
第11回「共感から始める|『デザイン思考』で価値を見つける」
お楽しみに。