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2025.12.18 複業・副業 / キャリア相談・コーチング

「なぜ私か?」── あなたのストーリーが最強の武器になる

「なぜ私か?」── あなたのストーリーが最強の武器になる

「複業に興味はあるけど、自分にしかできないことなんてない」
「同じようなサービスは、すでにプロがやっている」

今日は、そんな”埋もれる不安”を解消するための視点をお伝えします。

あなたの過去の経験——特に苦しかった経験こそが、他の誰にも真似できない「選ばれる理由」になるかもしれません。

複業は「何をやるか」以上に、「なぜあなたがやるのか」が問われる世界です。今回は、その”なぜ”を掘り当てるための手順を、具体的にお話しします。

~ 今日のお便り ~

まずは、よく届く悩みから。

「やりたいことはぼんやり見えてきたけど、
わざわざ自分がやる必要があるのか、自信が持てません」

この悩み、すごく多いです。そして、この問いに答えられないと、いざ発信しようとしても手が止まってしまうんですよね。

「この人から買いたい」「この人に相談したい」と思ってもらうには、スキルや実績だけでは足りません。必要なのは、あなただけの”物語”です。

スタートアップや新規事業の文脈では、これを「Why Me(ホワイミー)」と呼ぶことがあります。「なぜ他の誰でもなく、この私がやるのか?」という問いへの答えです。

「Why Me」とは何か? → 他にはない”必然性”の源

「Why Me」はもともと新規事業開発の現場で使われる言葉です。

投資家や上司への説明で、「なぜこの事業を”あなたが”やるのか」を問われる場面があります。アイデアが良くても、「別にあなたじゃなくてもいいよね」と言われたら、企画は通りません。

複業でも同じです。世の中には、似たようなサービスがたくさんあります。その中で「この人にお願いしたい」と思ってもらうためには、他の人にはない”必然性”が必要です。

そして、その必然性の源泉になるのが、あなた自身の「原体験」なんです。

ある40代男性の「Why Me」 → 当事者だからこその重み

ここで、一人の参加者の話をさせてください。

その方は40代の会社員。40代前半のとき、職場での人間関係に悩み、心身の調子を崩しました。

「どうして自分だけがこんな目に遭うんだ」

そう思いながら専門家に相談したところ、そこで初めて自分の特性——周囲と少し違う感じ方や考え方のクセ——と向き合うことになったそうです。

最初は戸惑ったと言います。でも、振り返ってみると、子どもの頃から「なぜか周りと噛み合わない」「友達関係がうまくいかない」という感覚がずっとあった。自分の特性を知って、長年の生きづらさの”理由”がようやくわかったそうです。

その後、彼は心理学やカウンセリングを学び始めました。そして今、「自分軸で生きられる人を増やしたい」という活動を少しずつ始めています。

彼の「Why Me」はこうです。

「当事者だからこそ、上辺だけの”多様性”ではなく、”違いをただ認める”ことの大切さを伝えられる」

これは、本で読んだ知識だけでは語れません。体験したからこそ、言葉に重みが出る。聞いている側も、「この人になら話を聞いてもらいたい」と思える。

これが「Why Me」の力です。

失敗や困難こそが「種」になる → ネガティブ経験が強い武器に

ここ、大事なポイントです。

「Why Me」を探すとき、多くの人は”成功体験”を探そうとします。でも実は、失敗、挫折、悔しさ、怒り——そういったネガティブな経験のほうが、強い「Why Me」になりやすいんです。

なぜか? 理由は2つあります。

1. コピーできない
成功体験は、やり方を真似すれば再現できることがあります。でも、あなたが味わった苦しみや、そこから立ち上がった経験は、他の誰にも真似できません。

2. 共感を生む
人は、完璧な人よりも「傷を持っている人」に心を開きやすい。「この人も苦しんだんだ」と思えると、「だから私の気持ちをわかってくれるかも」と感じます。

だから、「あのときは辛かった」という記憶を、無理に消す必要はありません。それは、あなたの複業の”燃料”になる可能性があります。

「人生年表」で自分だけのストーリーを紡ぐ → 感情が動いた瞬間に価値観が隠れる

では、自分の「Why Me」をどうやって見つけるか?

おすすめは、「人生年表」を作ることです。これは、過去の出来事を時系列で書き出し、そこで感じた感情や学びを整理するワークです。

ポイントは、「何をしたか」だけでなく、「何を感じたか」を書くこと。感情が動いた瞬間に、あなたの価値観や動機のヒントが隠れています。

落とし穴 → 「立派な物語」を作ろうとしない

ここでよくある落とし穴があります。

「自分の人生、そんなにドラマチックじゃないし…」
「他の人に比べたら大したことない」

そう思って、手が止まってしまう人が多いです。

でも、大丈夫。「Why Me」は、映画のような劇的なストーリーである必要はありません。日常の中で感じた小さな違和感や、ずっと心に引っかかっていることでも十分です。

たとえば、

  • 「会議で意見を言えない自分がずっと嫌だった」
  • 「子どもの頃、親に話を聞いてもらえなかった記憶がある」
  • 「効率の悪い仕事のやり方を見ると、つい口を出したくなる」

こういった小さな”引っかかり”が、複業のテーマに繋がることがあります。

今日からできるワーク(記入例つき)

紙でもスマホのメモでもOK。15分で書いてみましょう。

記入例

WhenWhatSo What
20代新卒で入った会社を1年で辞めた「逃げた」と思っていたが、今は「合わない場所から離れる判断力」だったと思える
30代部署のまとめ役を任された調整役は苦手だと思っていたが、意外と感謝された
40代子どもの不登校を経験「普通」のレールに乗せようとしていた自分に気づいた

繰り返し出てくるテーマ:「自分で選ぶ」「普通にこだわらない」「調整・橋渡し」

ひとことで言い表すと:
「”普通”に苦しんだからこそ、自分のペースで生きる人を応援したい」

あなたの番

WhenWhatSo What

繰り返し出てくるテーマ

ひとことで言い表すと

次回予告 → 「手中の鳥の原則」で隠れた才能を発見

「Why Me」が見えてきたら、次は「じゃあ、何を使って始めるか?」です。

「特別なスキルがない」「資格も人脈もない」と思っている方、大丈夫。あなたはすでに、たくさんの”カード”を持っています。

次回は、そのカードを棚卸しするための考え方、「手中の鳥の原則」をご紹介します。

第3回「あなたの隠れた才能──『手中の鳥』を見つけよう」

お楽しみに。

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