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2026.04.27 キャリア相談・コーチング

募集していないところに、あえて飛び込む|第5回5Mix井戸端会議レポート

募集していないところに、あえて飛び込む|第5回5Mix井戸端会議レポート

4月、新年度。仕事が動き出すはずの季節なのに、周りを見ると少し妙な景色が広がっています。

「仕事のある人とない人、会社で楽しく働いている人と働いていない人。すごい両極端に分かれてきている気がするんです」

小林さんがそんな話から切り出したのをきっかけに、今回の5Mix井戸端会議は、当初の段取りをあっさり脇に置いて、本音の話にどんどん入っていきました。

うまくいく人と、いかない人。この差はどこにあるんだろう。4月から売り込みに動き出した中野さん、50歳の壁を見てきた小林さん、中部地方の案件でリモート化を実感している河村さん、そして全体を眺めている私の4人で、1時間かけて話し合った内容をお届けします。

そして今日、一番印象に残ったのは、中野さんのこの一言でした。

募集していないところに、あえて飛び込む

中野さんは4月に入ってから、自分で職業訓練の講師案件を売り込んで回っていました。その話し方が、ちょっと普通じゃない。

「募集しているところには応募しないんです。一般的な募集じゃなくて、直接問い合わせ窓口に『こういう者です、こんな募集してませんか』って送るんです」

それでいいのか、と思って聞き返すと、さらに踏み込んだ答えが返ってきました。

募集してたら競争が見えてるので、そんなところに飛び込んでいくのはもったいないと思うので

── 中野

これを聞いて思わず「すごい。でも、それなかなかできないんですよ」と声が出た小林さんが、すぐに呼応しました。

私もそうです。デザイナー募集してるところに「コピーライター募集してませんか」って聞くんです。したい仕事だから聞く。めっちゃ冷たい反応の時もあるけど、いっぱい来るからこちらに送ってください、って言われる

── 小林

私も一人、思い浮かぶ人がいます。昔一緒に仕事をしていた転職エージェントのMさん。Mさんは自分が転職するとき、募集していない会社を調べて、理念を見て「この会社なら」と思った所にエントリーする。50代でも、それで何度も転職を成功させている人です。

競争が見えているところには、あえて行かない。それだけで、仕事の入り口の質が変わってくる。考えてみれば当たり前なのに、ほとんどの人がやらない動き方です。

4人が見てきた「うまくいかない人」の共通点

話は自然に「じゃあ、うまくいかない人って何が違うの?」という方向へ。ここで小林さんが、ずっと観察してきたことを率直に話してくれました。かなり踏み込んだ言い方ですが、フリーランスとして長年見てきた実感だそうです。

うまくいってない人は、全てのことを他者が原因だと思うんです。人のせい、時代のせい、AIのせい。でも本当は、自分のどこかが悪いということを受け入れて、書き出して、どうしたら解決するかを考えた方がいい

── 小林

河村さんは会社員側の視点から補足します。

会社でもあります。言い出したら自分がやらないといけなくなるから、言わない。新しいことを自分で引き受けない人。役職になってもそれをしない人

── 河村

中野さんはさらにもう一段、内面に踏み込みました。

責任を取りたくない、巻き込まれたくない、というのがすごくある気がします。今の状態がいい状態ではないんですけど、そこを変えようとしない

── 中野

そして私から、去年取った資格の話を持ち出しました。プロティアンキャリア協会の「心理的成功」という概念。うまくいっているかどうかは、他人が決めることじゃなくて、自分がどう思えているかだ、という話です。

中野さんはこう言います。「お金を稼いでる人が幸せ、とは僕はあまり肯定できないんです。自分がどう思って、これがうまくいってるんだって思える状態が一番いい」

少なくとも4人の経験からは、そう見えている。もちろん事情は人それぞれですが、どの切り口で話しても、結局そこに戻ってくるな、という空気が自然に生まれていました。

オファーを運んでくるのは、素直さ

そこから話は「じゃあオファーが減っていく人って、どんな特徴があるんだろう」という、もう少し具体的な話へ進みました。

小林さんが「50の壁」の話をしてくれました。クリエイターの世界では、50歳を超えてしぶとくやっていける人と、ひゅっと消えていく人に分かれる。消えていった人の多くは、自分をごまかしてしまう、と言うのです。

ここから、記事にしたかったエピソードが2つ出てきました。

一つ目。小林さんの知り合いの知り合いに、仕事が減ってしまって、アルバイトに行き始めた人もいる。その人はこう言うそうです。「(関わる業界の)文化を守りたくて、アルバイトに行ってるんです」と。

それ、自分でごまかしてるな、と思って。仕事がいっぱいあったら絶対そのアルバイトに行ってないと思うんですよ

── 小林

小林さんは続けます。アルバイトに行くこと自体はすごく素晴らしい。でも、「この頃仕事が減ったからアルバイトしてるんです。たまたま自分が守りたいと思ってた活版印刷の仕事があって、ラッキーだった」と言えばいいのに、と。

二つ目のエピソードは、小林さんが前日にネイルサロンで聞いた話です。ネイリストさんから、近所のご主人が会社の経営が悪くなって、夜中に1回だけコンビニでアルバイトに行っている、という話を聞いたそうです。「その人は家族のために、今ちょっと不況だからコンビニに行ってるんですって言ってて、めっちゃかっこいいよね、って話をしてたんですよ」

2つのエピソードの対比は、とても鮮やかでした。ごまかす人と、素直に言える人。少なくとも小林さんの感覚では、そういう素直さが仕事の相談を引き寄せやすいのだそうです。

その素直さがなかったらオファー来ないんですよ

── 小林

中野さんも頷きます。「物事の捉え方なんですよ。人が聞いて気持ちいい、心地いい捉え方をされている方と、仕事をしたいと思うので」

素直さは性格じゃなくて、捉え方だ、ということです。そう簡単にはいかない、という人も多いと思います。ただ、捉え方ひとつで周りの反応が変わる、というのは4人の実感として共通していました。

続く仕事の秘訣は、めんどくさいことを引き受けること

話は「じゃあ、続く人は何をしてるんだろう」へ進みます。ここで河村さんが、発注する会社側の視点から答えてくれました。

頼んだこと以上のことをしてくれるとか、こちらの困っているところもちょっとカバーしてくれる方には、やっぱりお願いする確率が高くなっていきます

── 河村

小林さんは、まさにそれを地で行くようなスタイルで仕事をしている人です。肩書きはライターなのに、実際にやっているのは取材、段取り、交渉など。「プレイングマネージャーみたいなことをやってます」と本人が笑いながら説明してくれました。

そして、ここで出てきた小林さんのクライアントの一言が、今日の井戸端会議で一番響いた言葉かもしれません。

小林さんが「AIで仕事がなくなったらどうしよう」と相談したら、クライアントは即答したそうです。

なくならないよ。そんだけめんどくさいことばっかりしてるから

── 小林さんのクライアント

めんどくさいことをやっているから、仕事がなくならない。これは強烈な差別化の論理です。しかもそれは、5〜6年かけて少しずつ築き上げてきたものだ、と小林さんは言います。昔はサービスでやっていたコーディネート的な作業に、今では1万円から5万円のコーディネート費を付けられるようになった。

みんな、そんだけ嫌がってる仕事なんですよね。やってる人もなかなかいないから、お金をもらえるようになった

── 小林

自分が20代の会社員時代に思っていたことが重なります。広告・企画の会社で、選択肢を3つ持っていってお客さんに決めさせる、というやり方。「お客さんに考えさせない。悩ましたら余計なことを言われてめんどくさいから」という発想が、実はAI時代にもそのまま通用するのではないか、と。人は考えたり悩むのがめんどくさい。だから、代わりに考えてあげる人が、ずっと必要とされる。

小林さんは最近、カメラマン・プランナー・コピーライターを全部自分の側に持って、一つのパッケージで受ける形も作ってしまいました。「私には仲間いてるから、私に頼んだら撮影までできる」というパターンです。発注する側からすれば、請求書が1枚で済むし、いいものが上がってくるし、何より楽。

結局、続く仕事の秘訣は、相手の「めんどくさい」を全部引き受けてあげることだ、と4人の意見が揃っていきました。

45〜55歳、一番の敵は「現状維持力」

話はだんだん、5Mix自身の方向性の話にも入っていきました。「じゃあ、こういう話を届けたい相手は誰なんだろう」という問いに、中野さんがキャリアコンサルタントの立場から答えます。

中野さんによると、キャリアコンサルの現場では42歳から45歳あたりが一つの端境(はざかい)になると言われているそうです。そこで諦めて落ちていく世代と、次のステップに進む世代に分かれていく。そして中野さんがキャリコン現場で見ているのは、諦めた側の圧倒的な多さでした。

諦めるパワーっていうのはすごいんですよ。現状維持力みたいなところは、本当にすごい

── 中野

特に大手企業では、給与体系がしっかりしているので、お金の心配がない人が多い。それがかえって、動かないための最強の理由になってしまう。

上に行く人はエグゼクティブコーチ的なサポートになるので、キャリコンの守備範囲から外れていく。でも上にも行かず、下にも戻れない、45歳以上の、ちょうど支援の手が届きにくい層。ここが、実は一番助けを必要としているのに、届く支援が少ない層なのかもしれません。

中野さんの言葉を聞いていて、ふと気づきます。「副業として企業向けにサービスを作るのは難しいのかもしれない。でも、今やってることの意味付けを手伝う、というのはニーズがあるかもしれない」

会社の中で、小さな一歩を踏み出すためのサポート。それが45〜55歳の「現状維持力」に向き合う、現実的なアプローチかもしれません。

学びは、実世界とつながっているから面白い

ここで河村さんが、自分の今の経験を話してくれました。資格の勉強を始めたけれど、その中で出会った「生産管理」という分野が、これまで興味も接点もなかったのに、やってみたら異様に面白い、と。

めちゃくちゃ面白いんです。これを僕が30代の時に知ってたら、その先は全然変わってたんやろうなあと思ったりする

── 河村

この一言が、今日の議論の最後のピースを埋めました。

中野さんが受けます。

「まさに河村さんがおっしゃったことがすごく大事で、『学び』っていうのがすごいキーワードになる気がします。学ばない人は成長しないと思っていて、でも学ぶっていうパワーがすごいいるんですよね。だから、そのパワーを得るために、自分が癒せるものに関わっていくことがきっかけになる」

面白いことに出会う。すると学びのパワーが湧いてくる。その学びが、今度は人生を動かすきっかけになる。この順番が大事で、逆ではない、という話です。

小林さんも同意します。「社会人の勉強って、学生時代と全然質が違うんですよね。実世界として起こっていることだから、学んだこととのつながりがすごく太くなる」

45〜55歳の「現状維持力」に向き合う道筋は、たぶん「がんばって変われ」ではないのだと思います。「何か面白いものと出会ってください」なんじゃないか。そこからしか、学びのパワーは湧いてこない。

まとめ:5つのキーワード

第5回の井戸端会議から見えてきたキーワードです。

  1. 募集していないところへ — 競争が見えるところに飛び込まない、直球の営業作法
  2. 他責にしない — うまくいかない人の最大の共通点
  3. 素直さ — オファーを運んでくる一番の資質
  4. めんどくさいを引き受ける — 仕事を続けさせる最強の差別化
  5. 現状維持力に抗う — 45歳以上が向き合うべき最強の敵

アジェンダから外れて自由に話した結果、見えてきたのは意外とシンプルな答えでした。自分の現状を受け入れて、競争のないところへ自分から動き、面倒なことを引き受ける。40代50代で動けなくなった時は、何か面白いものに出会うことから始めてみる。頭では分かっているけど、やれている人は少ない。だからこそ、やっている人の話は価値がある、ということなのだと思います。

5Mix井戸端会議は、AI時代の副業・働き方について 本音で話し合う、少し内輪寄りの場 として、これからも続けていきます。

次回もまた、リアルな話をお届けします。お楽しみに。

今日の話を読んで、何か動きたくなった方へ。

5Mix井戸端会議では、こうした本音の対話を続けています。次回から参加してみたい方は、オモシゴキャリアへの会員登録(無料)が入り口になります。

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